親和性

あまりこの事を共有出来る人はいないのだが、どうしてもどこかに書き留めておかなければ、唯一の理解者である"私自身"が、熱を失い耳を傾けてくれなくなるかもしれないので、記しておく。

 

私は学生時代に聞いた音楽が3つある。親が好きだったB'zとミスチル。それから、ボーカロイド

当時はボーカロイドは音楽の中でもどこか浮いた存在であり、給食中の放送でふと流れた機械音を好まないクラスメイトは沢山いた。何より、ボーカロイドはオタクの文化だと思われていた。強ち間違いではないし、否定するつもりもない。ただ、未知数の音楽性を秘めているボーカロイドを、皆がよく知らないことが勿体無いと思っていたのだ。

月日は流れ、ボーカロイドはよもや若い人には当たり前のように知られるようになった。ボーカロイドを用い音楽を作るP(プロデューサー)の中には、本人自身が曲を出したり提供したり、アーティストと遜色無い活躍を見せている人もいる。そんな名の知れた今だからこそ出来る話だと私は思っている。

さて、本題に入る。オタクならわりと多数の方に当てはまると思うのだが、『推し』と『推し』をクロスオーバーさせてしまわないだろうか。私の場合、その一つに『推しアイドル』と『ボーカロイド』があった。私の推しアイドルであるセクゾのメンバーにぜひ歌って欲しい曲たちをかき集めたので、少し付き合ってくだされば嬉しい。また、共有・共感がしやすいように、ボーカロイド界隈では有名なものを多数取り入れたので、是非一度聞いてみて欲しい。

 

・勝利くん→サリシノハラ/みきとP

https://youtu.be/fAbO6CV7Qko

 

みきとPさんは様々なジャンルの曲を書かれる有名なボカロP(ボーカロイドを用い曲を作る人の総称)。そんなみきとPさんの曲の中でも人気の高いシリーズの楽曲の一番最初に作られた曲で、2015年5月23日、自身2曲目となるミリオンを達成した人気曲である。サリシノハラ、という名前をいじると某アイドルの名前になるように、アイドルと一般人の話になっている。

まず、切ないイントロで胸を掴まれるのでイントロだけでも聞いて欲しい。歌詞は冷静に見ると「ちょっと気持ち悪い(by 中学生の頃のクラスメイト)」かもしれないが、アイドルオタクなら少しは理解できる熱のあるものになっている。また、初音ミクの掠れた声が、アイドルになった彼女を思う少年の揺れる心を直接、我々の鼓膜に投げつけてくるようで切なくなる。是非歌詞を噛み締めながら聞いて欲しい。

私は特にサビが好きで、度々出てくる『それでも君が好きだよ』、ラスサビに出てくる『ねえ 僕はここだよ どんなに小さな存在でも 君が犯した過ちに 刺し殺されてしまっても ここにいるからね』など、節々に画面の向こうに住む、今は届かない彼女に対する愛しさが滲んでいる。そんな真っ直ぐな愛しさは、勝利くんらしいと思う。また、彼はあまり自分の事を話すタイプではないと思うが、『Last winters night』のように、曲では驚くほど自分の気持ちを出す瞬間がある。そこも、曲に想いを込める彼らしい。是非弾き語りでしっとり聞きたい。

 

・健人くん→夜もすがら君想ふ/西沢さんP
https://youtu.be/sFhKP57Nk1U

 

西沢さんPさんは主にロック、バラード、ポップスを発表しているボカロPさんである。当人が影響を受けたと語るアーティストにUNISON SQUARE GARDEN、藍坊主、Mr.Childrenを上げているが、楽曲にもその要素が引き継がれているような気がする。西沢さんPの軽いギターの音が私は好みで、いろいろと漁った時期もあった。

そんな西沢さんPの37作目に当たるこの楽曲は、とにかく歌詞がピースフルでメロディーがキャッチー。さらに使用しているボーカロイドライブラリー・GUMIの調教が上手い。人のような声をしている。先程挙げられたアーティストで言うならば、UNISON SQUARE GARDENの『君の瞳に恋してない』っぽいかもしれない(独断と偏見)。

タイトルほど歌詞は甘々ではないが、それでもポップでハッピーなメロディーとリズムに乗せられた歌詞たちはきらきらと輝いて我々の気持ちまで高揚させる。疲れた時に甘いものが欲しくなるような、疲れを満たす幸せが詰まった一曲だと思っている。こんな曲を健人くんが歌ったら、何万人の人が人生に希望を見いだせるだろうか。分かりやすく言うと、健人くんのソロ曲『カレカノ!!』みたいなテンション。そりゃアガルこと間違いなし。

 

今 I Love Youで始まる僕らを 
もっと照らしてくれよ 
変わらない愛や希望の類いもまだ 
信じてみたいのさ

ほらI Miss Youって諦めムードでも 
wow 蹴飛ばして行けよ 
時代柄暗い話題が街行けど、 
愛を謳う

僕が生まれる前よりもずっと昔から続くように 
そういつも傷付け合ってまた愛し合うのさ

 

上記が夜もすがら君想ふの歌詞の一部だ。こんな歌詞、健人くんしか歌えないという確信はある。

 

・風磨くん→曖昧劣情Lover/電ポルP

https://youtu.be/paXpvS23N5w

 

この曲は電ポルPさんの34作目にして、初めてボーカロイドライブラリーの1つである『v flower(通称『花ちゃん』)』を用いた楽曲。2017年11月03日に自身2曲目となるミリオンを達成している。少しボカロがわかる人なら、『独りんぼエンヴィー』の作者だと言えば分かるだろうか。主にロック系の楽曲を出していて、聞きやすい歌声をしているので、あまり知らない人でも耳馴染みするかもしれない。

今作の最大の良さは、『切ない歌詞と花ちゃんの声』。この楽曲が世にでてから、花ちゃんの出番が増えたんじゃないかというくらい秀逸なのである(私の中で)。男性目線にも、女性目線にもとれる歌詞をぶっきらぼうな声で、どこか吐き捨てるように、しかし何かにすがるように歌いかけてくる。いつしか、胸が苦しくなっていることに気づいてしまう。知りたくなかった甘酸っぱい思いに支配される、あの感覚に陥る。

 

渇いた恋心を隠して 憂う目に 
諂(へつら)うのは嫌いなんだけど 
嫌いなんだけど

叶うなら 指先で触れたいよ 
夢なら 笑顔なのにさ

たぶん あんたに愛を伝えても 
たぶん あんたは優しく笑う 
“でもね・・・けどさ・・・” はっきり言え 
思わせぶりな態度で遊んで

いつもあんたを許してしまう 
やっかい でっかい 病にかかる 
好きさ 好きなのさ 愛してる 
千回唱えても 零みたいな魔法

 

曖昧劣情Loverの歌詞の一部を上げた。見ての通り、一人称は全く出てこない。しかし、二人称の『あんた』が歌詞にはある。この二人称が『おまえ』とか『きみ 』では、きっとこんな感情に気づかない。歌詞もとてもいいのだ。

そんなこの曲を、カラオケで風磨くんに歌われたい。いや、もしくは、私の前だけで引き語りしてほしい。歌い終わった後に待つ景色と展開……うん、ドラマ化してください。素直じゃない歌詞、ぶっきらぼうな声が風磨くんらしい一曲だ。

 

・聡ちゃん→ELECT/niki

https://youtu.be/1URMdXPWt5s

 

nikiさんの19作目に当たる楽曲。nikiさんと言えば、伝説のLily(ボーカロイドライブラリーの一種)マスターとして界隈では有名である。少しボカロがわかる人なら、『WAVE』や『-ERROR』といった楽曲を上げれば分かるかもしれない。ラウドロック等を得意とされており、感情的かつ重厚感のあるサウンドは一度聞けば病み付きになるに違いない。

今作も勿論、Lilyを使用した楽曲になっている。聡ちゃんにはダンサブルというか、ガツガツ踊れる楽曲が好ましいのではという私の趣味から、nikiさんを挙げた。どれも合いそうだったが、今回『ELECT』にしたのにはいくつか理由がある。

まず、『ELECT』の意味。和訳では『選ぶ』、『時期』などがある。皆が彼を最終兵器と呼んで久しいが、彼は本当に起爆するととてつもない威力を持っていると思う。今だ、という『時期』を『選ん』で彼にはさらに高みへ昇ってほしい気持ちがあるためこの楽曲を選んだ。そしてもう1つが、歌詞の刹那のエロさ。意味不明な言い方だと思うので、歌詞の一部をまずは見てほしい。

 

この状況みたいな セリフ奪って 
妄想みたいな世界が狂って 
B級ノーフューチャー 痛いの混じって 
電子的なナイフで

刺さるプラグのまま 流れてよ 
繋ぐ思考の中 痺れていく 
乾く心のまま 響かせて 
凍りついた体内に 甘い電流で

上げて奇跡のまま 求めてよ 
甘い体の中 壊れていく 
落ちる心のまま 響かせて 
凍りついた体内に 甘い電流が流れた

 

どうだろうか。感じていただけただろうか。はっきりとしたエロさではない。ふとした瞬間に火花のように脊髄を走ってきた感覚を持ってしたエロさなのだ(??)。『甘い電流が流れた』と言われて、ね?感じたでしょ?みたいな挑発をされた気分にならない人間はいないのではないか(私調べ)。

聡ちゃんお得意のウィンクとバキバキのダンスで何人が堕ちるだろう。そして曲が終わり暗転した際に、ぼんやり浮かぶシルエット──肩で息して彼はこちらを見て笑う──はい、墓をたてよう。

 

・マリちゃん→Burn Me Down/KIRA

https://youtu.be/oTGJOVzMHPo

 

私はマリちゃんに関して、忘れられない衝撃がある。そう、デジャヴ。あの楽曲を歌ったマリちゃんの、かっこよさと言ったら。私はそれを見て無限の可能性を秘めたマリちゃんにワクワクした。そんな彼にはやはり、洋楽(歌詞が強気なもの)をどうしても推したい。

Burn Me Down──私を燃やす。この楽曲はKIRAさんという、海外在住のボカロPである。海外のボカロPの作品で有名なものといえば、Crusher-Pさんの『ECHO』だろう。その人気は果てしなく、たくさんの歌い手に歌われ、小説化もした。しかし、海外のボカロPさんの楽曲はあまり馴染みがないものである。

そんな中、たまたま巡り合ったのがKIRAさんだ。KIRAさんの楽曲で有名なものは、MMDにも使われている『Monster』だろうか。挑発的な歌詞が聴くものの鼓膜を揺らす。

『Burn Me Down』は恋に落ちた女性が相手に対し、相手に溺れていく様が描かれる。しかし歌詞にはどこか相手を乗せようとする面も見られ、相手に振り向いてほしい気持ちも感じられる。本能のまま、欲しいと語りながら全部貴方のせいと己を正当化するわがままさ。恋をしている姿をダイレクトに見せつけられている感じがする。

こんな女々しさ全開の楽曲でも、マリちゃんならかっこよく決められる。何より、和訳すれば分かるが、歌詞がずっと相手に対して語りかけ続けているのだ。歌詞に、『秘密は暗闇の中(和訳)』とあるが、二人だけの秘密よとばかりに気持ちを吐露されているような錯覚にまんまとハマる。次回作、こんな方向性で行きませんかね?マリちゃんの魔法にかかりたい。秘密をつくr(強制終了)

 

どうだろうか。ここまで楽曲を聴きながら来てくれたものだという前提で話をするが、どれもわりと雰囲気を掴めているのではないだろうか。曲の解釈は各々であり、もっと読者さん各々の感覚にピッタリなものはある!と思うので、探してみるのも面白いと思う。実は楽曲の完成度が高いのだ、ボカロというジャンルは。

 

私がボカロに惹かれた理由の1つに、楽曲に物語性があるという点がある。例えば『サリシノハラ』のようにいくつかシリーズになっているものだったり、楽曲自体に意味深な物語性を感じられるものだったり、この形は様々だ。私は音楽で価値観や人生を語ることが出来るんだと、このジャンルを聞き始めて知った。そんな誰かの気持ちを、人生を誰かの代わりに語る力を持つ歌手、アイドルは素敵なものだ。だからこそ、セクゾとボカロに親和性を感じているのだろう。また、歌えば歌うほど、曲に深みが出てくる。擬似的にその物語の主人公になったかのような、楽曲との一体感。それも楽しい。

これからも、彼らを投影していくであろう楽曲を味わい、楽しみたいものである。バイバイDuバイも含め。

 

ここからは、コンビで合いそうな曲を選んでいる。長々と説明を聞くのは懲り懲りだと思うので、『選考理由』に絞って話をしていく。

 

 

・しょりそう→イカサマ⇔カジノ/ひとしずく×やま△P
https://youtu.be/tjkYVU8IahE

 

【選考理由】

しょりそうにはずっと『Game』のような楽曲を歌って欲しいと切に願っているが、この楽曲は双子がカジノで激突するストーリーになっており、まさに私の願望を形にした楽曲だったから。『Game』では他人がライバルだったが、ここでは双子がライバルなのがしょりそうらしい。ちなみにリン(女性)パートを聡ちゃん、レン(男性)パートを勝利くんで。

 

・そうマリ→おこちゃま戦争/ギガP
https://youtu.be/qYAmduGAwBQ

 

【選考理由】

とにかく可愛い兄弟喧嘩の歌。そうマリが喧嘩するとか天使のじゃれあいでしかないだろう。歌詞がお互いを煽りまくりなので、ライブやったら絶対ボルテージ上がるだろう。最終的に引き分けになるのも可愛い。途中出てくる執事は是非風磨くんでどうぞ。

 

・けんマリ→エル・タンゴ・エゴイスタ/
nyanyannya

https://youtu.be/XzHev6QH9sc

 

【選考理由】

鉛姫シリーズというシリーズの曲で、KAITO扮するファーザー=セクトブルーノート巡音ルカ扮するシスター=セクトルージュのデュエット曲。スペイン語なども歌詞にあり、お互いに罵り合うスタイリッシュ喧嘩曲。宗教的なものがモチーフなだけあり壮大な曲調。是非ファーザー(低音)を健人くん、シスター(高音)をマリちゃんにお願いして低音と高音のぶつかり合いを見たい。

 

・ふまそう→OVERRIDE/ナナホシ管弦楽団
https://youtu.be/2L2hNCfRh9Q

 

【選考理由】

めっちゃロック合いそうな二人なので、ナナホシさんの曲を歌って欲しい。同じPさんなら、風磨くんは『セフレ』、聡ちゃんは『シニカルブルーは眠らない』も合いそうである。話がそれたが、歌詞の強気な感じが時代を切り開いてやるという覚悟に見えてかっこいい。何より、ギターがやばい。聞いてみて。

セフレ→https://youtu.be/jvnqoIz70Nw

シニカルブルーは眠らない→https://youtu.be/wSzFR3q3tIE

 

・けんそう→右肩の蝶/のりP
https://youtu.be/Kp9iYAOZRMg

 

【選考理由】

言わずと知れた、リンレン曲。共依存を描いているとされている。リンバージョン、レンバージョンがあるが、2つ同時に歌うと足りない部分が補われてさらに神曲になるというもの。ライブの時の表現力が高い健人くん、ライブになると化ける聡ちゃんにはもってこいの楽曲だと思う。禁断の領域に踏み入れる様を描く二人を見てみたい。

 

・ふまけん→BURNING/梅とら
https://youtu.be/UXHEHQucYcw

 

【選考理由】

代表作に「威風堂々」「一心不乱」「虎視眈々」などを持つ梅とらさんの曲。中毒性のあるサウンドと歌詞の言葉遊びが最高に気持ちいい。ふまけんはイメージとして背中合わせだったりお互いに譲れないものがある感じがするが、この楽曲は『お前こそがNo.1だ、だから本能のまま突き進め』といった雰囲気を持つ。グループを引っ張る二人らしい。また歌詞に『手に入れた始まり 深紅の物語 』など『赤(紅)』が多く出てくる。薔薇を掲げ頂点を目指す彼らの闘争心が透かされているよう。

 

・けんしょり→オレンジ/トーマ
https://youtu.be/5i5hjipwUV0

 

【選考理由】

アコギとピアノで聞きたい。歌詞が優しい二人にピッタリ。歌詞を見て、貴方はどんな解釈をするだろうか。私には今は亡き愛しい人へのレクイエムだと思っていて、歌詞がとても真っ直ぐなので歌でやっと素直に気持ちを伝えられたんだと思うと苦しい。生前に言えなかったことなのだろうなと。ライブで聞いて泣きたい。今繋がっている人を大切にしたいと思える一曲を、彼らから聞きたい。絶対美しい空間だ。

 

・さときく→メーベル/バルーン
https://youtu.be/_KZTkRgGqds

 

【選考理由】

今のボカロシーンで人気のボカロPさん。シンガロンを見てバルーンさんの曲を同じように歌ってほしいなと思った中これを選んだ。ラスサビへの持っていき方がズルい。歌詞は熱が冷めかけている恋をモチーフにしていると思う。そんな切ない雰囲気をまとう歌詞なのに何故か体が揺れる。悲しい方に傾きつつある感情を洒落た歌で吐露する様は、不器用であまり自分のことを語らない面のある二人らしい気がする。

 

 

他にもあるが一旦これくらいにしようと思う。読んでくれた皆さんの新たな扉が開いてくれたら、書いた甲斐がある。またいつか5人で歌って欲しい曲を考えたいし、皆さんの思う合いそうな曲も聞いてみたいものである。

 

長々とお読みいただきありがとうございました。